ポールトレーラーとは、長尺の鋼材や基礎杭(パイル)や電車のような長さのあるものを運ぶ車両のことです。
この記事では、ポールトレーラーの構造や一般的な寸法、起こりやすい事故要因を解説します。
目次
ポールトレーラーとは?
ポールトレーラーとは、鉄骨や橋桁など分解することが難しい長尺の積荷を運搬する、被牽引車両のことを言います。
運転席のある前方の牽引する部分がトラクター、後方の牽引される部分がトレーラーです。
牽引車との間に伸び縮みするステアリングドローバー(牽引パイプ)を繋ぐことで、様々な長さの荷物に対応し積載することが出来ます。鉄骨や橋桁などを運搬することができ、長いものでは40mを超える荷物も運ぶことが可能です。
必要な免許は?
ポールトレーラーの免許は以下の2つが必要です。
- 大型免許
- 牽引免許
ポールトレーラーのトラクター部分は大型自動車、トレーラー部分は大型特殊自動車に分類されますが、大型特殊自動車免許は不要です。
ポールトレーラーは被牽引車両のため、牽引免許も必要です。
ポールトレーラーの構造・寸法(規格)
ポールトレーラーは長さのある荷物を運ぶトレーラーで、トラクターとトレーラーを連結させた構造です。
ポールトレーラーの構造や寸法をそれぞれ見ていきましょう。
ポールトレーラーの構造
ポールトレーラーの構造は以下のようになっています。
- トラクター
- トレーラー
- ターンテーブル
- ステアリングドローバー(牽引パイプ)
トラクター部
トラクター部分には「荷台があるタイプ」と「無いタイプ」があります。荷台があるトラクターは大型トラックと見た目は変わりませんが、タフなエンジンや冷却効果が高いラジエーターを備えています。
荷台がないトラクターはセミトレーラーと似た構造で、どちらもターンテーブルが搭載されており、カーブでの右左折時に積載に影響を与えにくい仕様になっています。
トラクターとトレーラーの連結部分にあるステアリングドローバーを伸縮させることで、車体の長さを荷物に合わせることが可能です。
ステアリングドローバーを連結させるためのピストルフックがトラクター最後部に装備されしており、簡単にフックの掛け外しが行えるようになっています。
トレーラー部
トレーラー側にもターンテーブルがありますが、トレーラー自体は引っ張られるだけのためシンプルに作られています。
後輪にステアリング機能を備えたものもあり、トレーラーのタイヤの向きを制御できるため、小回りが効きます。ステアリング機能があるポールトレーラーを活用すれば、狭い場所でのポール設置に役立ちます。
ポールトレーラーは解体や折り曲げることが出来ない長い荷物を運ぶのに、最適な構造になっています。
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ポールトレーラーの寸法(規格)
ポールトレーラーのトラクターの高さや幅は、一般的な大型トラックと同じくらいの大きさです。
ポールトレーラーは車両の長さが特徴で、全長40mの荷物を運搬することが出来ます。ただし、公道で走るためには車両の長さには決まりがあります。
道路の種類 |
許可なし |
許可あり |
一般道 |
16mまで |
25mまで |
高速道路 |
12mまで |
21mまで |
許可を得ていない場合には一般道では全長16mまで、高速道路では全長12mまでと決められています。
警察署にて道路通行許可を取ることで一般道では全長25m、高速道路では全長21mまで走行可能です。それ以上のサイズの場合には別途通行許可が必要です。
ポールトレーラーの事故要因
ポールトレーラーは細心の注意を払って運転しなければ重大な事故に繋がります。
ポールトレーラーで起こる可能性が高い事故要因を見ていきましょう。
ジャックナイフ現象を起こす
ジャックナイフ現象とは、急ブレーキ等でトラクター部分とトレーラー部分のバランスが崩れてしまい、連結部分で「くの字」に折れ曲がる現象のことです。
折れた形状がジャックナイフに似ていることからジャックナイフ現象と呼ばれます。
ジャックナイフ現象が起きてしまうと、トレーラー部分が車や人と衝突したり、トラクター自体にぶつかったりするる危険性があります。
ジャックナイフ現象が起きる要因は以下です。
- 急ブレーキ・急ハンドルなどの運転
- 過積載運転
- 急激なシフトダウン・2段跳び
- ブレーキとハンドルの同時操作
路面が濡れていたり、積雪していたりする場合にはハンドル・ブレーキ操作は慎重に行う必要があります。
特にカーブや下り坂は細心の注意を払い安全運転を心がけましょう。
トレーラースイング現象を起こす
トレーラースイング現象とは、急ブレーキ等でトレーラー部分が左右にスイングする現象です。
トレーラーブレーキがロックしてしまい、ゴルフのスイングのように左右に振られるため、これがカーブで起きた場合、車体が滑って重大な事故に繋がります。
トレーラースイング現象の原因は、スピードを出している状態でカーブに突入しトレーラーブレーキをかけることで起こります。
雨天や未舗装の道路でもロックしやすいため注意が必要です。
トレーラースイング現象を防止するためには、トレーラーブレーキの使用を控えるか、急ブレーキを控えることが重要です。
内輪差による事故
ポールトレーラーの内輪差を理解していないと、身動きが取れなくなり交通の妨げを起こすだけでなく、人身事故などの重大な事故にも繋がります。
ポールトレーラーは一般的な大型トラックよりも内輪差が大きい車両です。
交差点で左折する場合などの小回りが必要な場面では、トレーラー側の内輪差を把握することが大切です。
旋回操作に入る前のコースの取り方を間違えると、曲がりきれなくなります。
側方の死角による事故
ポールトレーラーは交差点での右左折時に、人や二輪車を巻き込みやすい車両です。これは側方の死角が大きくなるためです。
特に左折時は左側のミラーに映る範囲が狭くなり、左後方の死角が大きくなります。
道路を変更する前にはミラーだけでなく、目視での安全確認を徹底しましょう。
追い越しや追い越されによる事故
ポールトレーラーは全長が長いため、追い越しや追い越される際、車線変更のタイミングでの事故に気をつける必要があります。
追い越す場合には長い距離が必要になるため、前後に十分な余裕があるかを確認しましょう。
追い越させる場合には、完全に追い越されるまで速度を上げないようにするのも大切です。
車線変更ではウインカーを早めに出すだけでなく、バックミラーや目視での安全確認も怠らないようにしましょう。直前の割り込みにも注意が必要です。
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ポールトレーラーの構造や一般的な寸法、起こりやすい事故要因を解説しました。ポールトレーラーは、解体や折り曲げることが出来ない長い荷物を運ぶのに最適な車両です。
運転するためには大型免許と牽引免許が必要で、公道で走るためには車両の長さに決まりがあります。
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