車検ではタイヤの溝や擦り減り具合は必ずチェックされます。 タイヤの使用限界を知らせてくれる目印が「スリップサイン」です。
この記事では、スリップサインの見分け方や露出する理由、車検の合格ラインやタイヤを長持ちさせるコツや交換方法を解説します。
目次
タイヤのスリップサインとは?
タイヤの寿命はすり減り具合で判断でき、タイヤの寿命を知らせてくれる目印がスリップサインです。 新品のタイヤは深さ約8mmの溝があり、タイヤの駆動性や制動性にくわえて、雨の日の排水性も兼ね備えています。
スリップサインはタイヤの側面に三角マーク「▲」があります。 この三角マークの延長線上にある盛り上がった部分がスリップサインです。 スリップサインが出現した場合は、安全性確保や道路交通法違反にならないためにタイヤの交換が必要です。
タイヤのスリップサインの見分け方
スリップサインはトレッド全周の4〜9ヶ所にあり、すぐに見つけることができます。 注意点として、スリップサインが1ヶ所でも露出していれば車検に合格することが出来ません。 スリップサインが露出しているかどうかは、以下の手順で見分けます。
- タイヤの側面にある三角マークを探す
- 三角マーク「▲」の延長線上にスリップサインが露出していないかチェック
- 全てのスリップサインをチェック
タイヤが摩耗する範囲は偏りがあるため、全てのスリップサインを隈なく確認しましょう。 溝が平らになっている場合はスリップサインが露出している状態です。
スタットレスタイヤではプラットフォームが露出
スタットレスタイヤでは溝の深さが50%になると、冬用タイヤの使用限度である「プラットフォーム」が露出します。 プラットフォームはタイヤ側面の「↑」の延長線上にあり、露出していると積雪や凍結している道路を走る場合には大変危険ですので、速やかに交換しましょう。
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タイヤのスリップサインが出る理由
タイヤのスリップサインが出る理由はタイヤの摩耗によるものがほとんどです。 タイヤのスリップサインが出る要因として、走行距離・タイヤの使用年数が関係しています。
タイヤの摩耗
タイヤが摩耗することでスリップサインは露出します。 摩耗は気圧不足やタイヤ周りのズレで起こります。 摩耗の種類にはショルダー摩耗・センター摩耗・片側摩耗があります。
- ショルダー摩耗:空気圧の低下やリム幅が広すぎるため両側のショルダー部分が摩耗
- センター摩耗:空気圧過多やリム幅が狭すぎるためトレッドの中心部分が摩耗
- 片側摩耗:重い車(ミニバン等)でタイヤ周りにズレが生じ片側のショルダーだけが摩耗
これらの摩耗を防ぐためには、定期的な空気圧点検や空気圧の値を調整、車両のアライメント調整でタイヤ周りのズレを直しましょう。
走行距離
タイヤの摩耗は走行距離に比例します。 一般的なタイヤのゴムは走行距離約5,000kmにつき1mm摩耗すると言われています。 新品タイヤの溝が8mmだとした場合、走行距離が32,000kmでタイヤの溝は1.6mmになります。
車での走行はタイヤの溝が1.6mm以上あることが保安基準で定められているので、 走行距離32,000kmがタイヤ使用限度のひとつの目安です。
使用年数
タイヤには消費期限というものはありませんが、一般的に使用開始後4〜5年で交換とされています。 ただし、車を使用していない場合でも時間経過でタイヤの状態は劣化します。
製造年週はタイヤ側面に製造番号が表示されているのでチェックしましょう。 製造年週は2000年以降では、4桁の数字で表記されており、上2桁が週、下2桁が年を示します。 「2218」なら2018年の22週目が製造年週になります。
タイヤのスリップサイン|車検の合格ライン
新品タイヤの溝は約8mmで、車検での合格ラインは1.6mm以上です。 道路運送車両の保安基準で定められており、この基準を下回るとスリップサインが出ますので車検に合格できません。
車検の合格ライン
車種 | 一般道路 | 高速道路 |
---|---|---|
乗用車 | 1.6mm以上 | 1.6mm以上 |
小型トラック | 1.6mm以上 | 2.4mm以上 |
大型トラック・バス | 1.6mm以上 | 3.2mm以上 |
スリップサインが出ている状態のタイヤを使用した場合、道路交通法違反となることもあるため、すぐにタイヤ交換を行いましょう。 タイヤの溝の深さはデプスゲージなどの専用ツールを溝に差し込んで計測することができます。
専用のツールで計測して残溝が1.6mm未満ならすぐにタイヤ交換し、4.0mm以下なら早めの交換を検討しましょう。
タイヤのスリップサインを無視するとどうなる?
タイヤのスリップサインを無視すると事故に繋がるのは勿論、道路交通法違反になります。
ハイドロプレーニング現象が起こる
ハイドロプレーニング現象とは、雨の日などにタイヤと路面の間に水の膜ができることで、ハンドルやブレーキが制御不能になるトラブルです。 この現象の原因の1つがタイヤ溝の過度な摩耗によるものです。
道路交通法違反になる
タイヤの溝は道路運送車両の保安基準によって定められています。 スリップサインを無視した車を走行させた場合、道路交通法の違反になります。
- 違反点数:2点
- 反則金:普通車9千円/大型車1.2万円
スリップサインが露出している車での走行は絶対に止めましょう。
タイヤを長持ちさせるコツと交換方法
タイヤは多様な材料から製造されたゴム製品で、経時変化することでタイヤの特性も変化します。 タイヤを長持ちさせるコツはどんなものがあるでしょうか?
丁寧な運転を心がける
タイヤが路面と接触するトレッド面がツルツルになっていないか確認しましょう。 タイヤの摩耗は急発進や急ハンドル、急ブレーキなどの荒い運転が原因の場合があります。 偏摩耗の場合でも丁寧な運転を心がけることでタイヤを長持ちさせることができます。
タイヤローテーション
タイヤを長持ちさせるためには「タイヤローテーション」も有効です。 タイヤローテーションとはタイヤの装着位置を交換することで、偏った摩耗を予防することができます。
一般的には5,000kmを目安にタイヤのローテーションを行います。 ただし、回転方向やタイヤの取付け方向が指定されたタイヤは専門店に相談しましょう。
使用していないタイヤは正しく保管・収納
スタッドレスタイヤなど普段装着しないタイヤは、保管状態が悪いと劣化が進みます。 タイヤラックの使用や、雨、油、熱、紫外線を遮断できる冷暗所で保管しましょう。
タイヤの交換は自分でできる?
タイヤをホイールから外して、新しいタイヤをホイールに組み込むタイヤ交換は、専用の工具や高度な技術が求められるため、業者に依頼するのが無難です。 間違ったタイヤ交換は重大な事故に繋がりますし、工具を購入する初期費用や作業スペースの確保も必要になります。
タイヤ交換はタイヤ専門店・ディーラー・一部ガソリンスタンドで行えます。
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スリップサインの見分け方や露出する理由、車検の合格ラインやタイヤを長持ちさせるコツや交換方法を解説しました。 スリップサインを無視することは大事故や違反に繋がるため、早急なタイヤ交換が必要です。
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